18. 備前 大森礼二展 始まりました

 

大森礼二さんの個展が始まりました。

 

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大森礼二さんは不思議な作者である。

 

様々な原土を探し出して来て、同じく多様な製土をする。

にもかかわらず、大森さんがどのような造形のアプローチや焼成パターンを変化させてきても「大森さんのテクスチャー」になる。

私が感ずる「大森さんのテクスチャー」とは、備前陶では鎌倉中期より南北朝を経て室町初期に至る、このあたりの体質が前面に出た強靭な材質感である。

桃山の造形や箆使いを採用していても、そうなる。

 

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近代以降、こういった備前陶は他に例を見ないが、それでいて備前陶の王道的趣きが有る。

つまり、在りそうで無かった備前陶である。作者の体質に即したやきものであるとも言える。

率直に述べると「粗削りだが、たいへんな可能性を感ずる」ということになる。

特筆すべきは、箆使いや高台削りが「きまった」時、そのことにおいて知る限り最強である。ここは是非とも注目していただきたいところである。

氏が特に目指しているものに「良い土肌」がある。

よい土肌は本当にストライクゾーンが狭いものだ。

これも多くの作者は外すと「生焼け系」か「死に肌」になることが多いのに対し、大森さんのものは「レアなまま堅過ぎ」となる。これも実際珍しいことなのである。

氏の作品の「振れ幅」は大きい。

「当たると大きいホームランバッター」を思わせる、といえば失礼であろうか。

今回の作品は当廊が「ストライク」と判定したものを揃えました。

どうぞご覧ください。

 

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