【閲覧上のご注意!】※閲覧前に必ずお読みください。
このコーナー「やきものの常識は疑え!」は、やきものギャラリーおよび美術館の企画、または関連書籍や陶芸作家の言動や作品、あるいは、現代社会において楽しく充実した生活を送るすべを心得ておられ、現在この国は民主主義であると何の疑念も抱かずに受容されている方にとって、必要なことは何一つ書かれていません。閲覧により不快感、吐き気、嘔吐、食欲不振、めまい、ご家族への八つ当たり等の症状があらわれた場合、ただちに閲覧を中止し、当方ではなく医師・薬剤師・唎き酒師・祈禱師などにご相談下さい。乳幼児、小児にこれを読んで聞かせる場合はご家庭の教育方針への抵触にご注意下さい。また、本稿を閲覧しながらの自動車及び機械類の運転操作はしない下さい。

56. やきもの店におけるわかりやすいマナーについて

 

やきもの販売店には入場料は要りません。

入場料が要るのでDMが無料招待券だと解釈し、入り口で提示して下さる方もいらっしゃりますがその必要はありませんし、抽選券が付いているわけでもありません。

賽銭箱を置いていないかぎり「お賽銭」も要りません。

 

また、いつも申しておりますようにやきもの販売店の出入り口は敷居が高いと言ってもさほどではなく、国境もないのでビザを取得する必要はなく、南北境界線もないので入り口付近で躊躇していて銃で撃たれることなども滅多になく、ドアを開ければ上からバケツの水を被るような仕組みにもなっていません。

「見せてください」、「おじゃましました」とひと声掛けて下されば「感じが良い」だけのことで、他には特に何もありません。

 

「見るだけですみません」と入って来て、「見ただけですみません」・・・と出て行かれる方もいらっしゃります。

そのような台詞も不要です。

販売店のやきものは「見てはいけないもの」ではありませんので、見たら「見たな~」などと言われれたりしませんのでそのように謝っていただく必要はありません。先述のひと声で充分です。

病院や美容院、あるいは法律事務所や組事務所などではありませんので、買い物をせずに出て行くことに不都合はまったくありませんが、入店後いきなり「何も買うつもりは毛頭ありませんよ」とわざわざ言うのはやはり、通常ではやはりたいへん無礼なことと存じますので「見せて下さい」で充分なのです。

入店後も椅子に座ったら「テーブルチャージ」が発生したりしませんし、もし菓子などが出てきても「つきだし」ではありませんのでお金を払う必要もありません。つまり、心身とも武装を十全に整えて入店していただくご心配は一切不要ということです。

 

無言で入って来て、無言で出て行かれる方もいらっしゃいます。

まったくそれでも結構ですが、このように黙って入って来て黙って出て行かれると、もしも私が暇を持て余している幽霊であったなら、黙ってあとを付いて行ってトンネルに差し掛かった折りに少しご挨拶しようかと思うかもしれませんが、それもその程度の他愛もないことです。

 

「欲しいと思ったものにはほとんど赤丸がついていますね」・・・これはけっこうよく耳にする発言です。説明はあえて省きますが、そのセリフは国境を越えて誰の何の役にも全く立たず、また本人にとっても曾孫の代まで何のメリットも無いので止めておいた方がよい発言です。

 

「誰それ(作者名)の作品をたくさん持っている」「誰それの窯場へはよく足を運ぶ」「誰それとはずいぶん懇意にしている」・・・「バイヤーさん」ではなくお客さんの話です。

顧客情報を自発的かつ積極的に開陳して下さるお心遣いはありがたいのですが、実に不思議なことにそういったお話をなさる方々のほとんどが「それでどうした」という「オチ」がなぜか必ず欠落しているので、残念なことにせっかくの情報は何の役にも立ちません。こちらはただひたすら「そうですか・それはよかったですね」と、教育が行き届いていない九官鳥のように繰り返すしかありません。

この場合、もうひとつ不思議なことは、こういった話に出て来る作者さんたちの名前がことごとくこちらの興味の対象外であることです。わざわざ興信所に依頼して調査をされたのかと思うほどです。

 

ですがこれらのことは何も、「絶対やってはいけないこと」ではありません。

絶対にやってはならないことをひとつだけ挙げておきます。「発言の内容」などは省きます。

展示台の上のやきものを展示台に置いたその状態のまま(手に取って持ち上げずに)くるくると向きを変えて見ようとすることです。この行為はやきもの好きとして(たとえ自宅においても)決してやってはならないことです。敷台や盆、場合によっては器の高台が無益に損傷する以外、全く何の良いこともありません。

そんなことしていれば必ず「やきものの精」が見ていて、来世もそのまた来世も未来永劫「塗り盆」に生まれ変わり、手入れ前の砂高台でガリガリと擦り回し続けられることとなります。

 

最後に、「できれば止めておいた方がよいこと」を、あくまで参考としてひとつ挙げておきます。実はこれは私自身がやきものに興味を持ち始めて間もない頃、やきもの店などでよく行っていた“振る舞い”なのですが・・・・・。

個展会場などでやきものをみていると、後ろから作者さんや店の人がやって来ていろいろ説明をし続けてくれるので、「すみませんが今、見ているのでちょっと黙っていてくれませんかね」と条件反射の如く台詞を繰り返していました。ですが今となって思うに、声掛けの技術やセンスなどはさて置き、店の人も作者さんも必死でその職務を全うしようとしていただけなのだ、という気持ちはよくわかりますので、やはりそのような目に遭った場合には修行だと思い「ひたすら耐える」のがよろしいかと思います。

 

尤もそれにも限度というものがあり、「やきもの、お好きなのですか?♡」などと白痴的に全く無意味で呪われたセリフを浴びせ掛けられたならば、さすがにここは我慢などなさらず是非、「嫌いなら、誰がわざわざ出入りするだけで世間さまから変人扱いされるようなわけのわからん店になどくるか、フザけるんじゃないわこのボケ!!」、といった内容をもう少し丁重な言いまわしでお伝えなさることをお勧めします。なぜならば、これは店側が絶対に口にしてはならないお客様に対する無礼極まりない台詞であるからです。

理由もへったくれもありません。