その14. 土の話・その二
「荒い土」といえば、どのようなものをイメージされますか?
一例として、「信楽」といえば多くの愛好者が思い浮かべるもののひとつに室町期の壺がありますが、これらの大半が「細かな土」です。古琵琶湖底系列の極めて微細といえる粒度の粘土に大小の硅長石がたくさん混入しているので、古信楽特有の「あの石ハゼ」となるわけです。古信楽の土の大半は「極めて細かい土」です。「荒い」と感ずる人は、土ではなく石に目を取られているわけです。ベースとなる土の粒度が「荒」ければ、石ハゼはあのような表情ではなく、現代作品でおなじみの「あの器肌」になります。
また、「山土」「田土」などというのも極めて粗雑な括りで、岩石がその場で経年風化や熱水作用により粘土と化した「一次粘土」と、そこから流下した「二次粘土」という方がより正確さを増すものの、当たり前のことですが山にも麓にもその両方があり、山中にも二次粘土はあり、現在平地になっている処にも一次粘土はあります。 では問題です。山の棚田の下にあるのは山土、田土のいずれでしょうか?