その15. 「写し」の人
古典にあるものの忠実な再現を試みたものを「写し(うつし)」と呼ばれています。
因みに、現代製のものの忠実な再現は「パクリ」と呼ばれ、作者が自作を惰性で再現すると「自己模倣」となります。
古典の写しを見る者が「写し」というカテゴリーを意識する際には充分な注意が必要です。
その場合、その「写し」がどういった目的または動機で作られたのかを、同時に併せて読み取れない場合は、余計な定義付けはやめてただ見ることをお勧めします。写しをみて「写しだね」と言うのは、犬をみて「犬だね」と言うことと同じです。罪はありませんが意味もなく無駄な発言なので、乱発を続けていると「ボンクラ」だと認定されます。「写し」との認識には「何のための」という読み取りが同時に必須です。世の「写し」は贋作や安直に売る為に作られたものばかりではないのですが、その分別が出来ない人が只々「写し!」と乱発するようです。使い古された言葉の安直な「写し」だと思います。