鈴木 都 Suzuki Shu
略歴
1984年
東京生まれ
1990年
土を掘りはじめる
1997年
美濃古窯跡を訪ねる
2010年
瀬戸に居を移す
2011年
愛知県立窯業高等技術専門校修了
土岐津・高山にて制作を開始する
2015年
郷之木古窯の地へ移る

志野というやきものは陶磁史のなかでもきわめて特異な存在です。
その彫刻性と装飾意図の強い施釉による造形表現に、それ以前にみられる祖型を探すことが一見難しいからです。
昭和に入って以降、多くの作者がこの慶長期の志野を目指し手掛けてきました。その結果として、当時のものとはまた趣の異なる昭和独自の志野が生み出されました。
現在志野を手掛ける作者のほとんどが、この昭和志野の伝統を感じさせる作風です。
そういうわけで現在生みだされる志野は、どうしてもそれら先人たちと比較されやすい立場にあります。彼らに堂々と比肩しうる志野を焼いてくれる次世代の作者はいないものかと嘱望される中、現れたのが鈴木都という若い作者でした。
大きな期待と注目を浴びる中、氏はその後も目線や方向性をブラさず邁進し秀作を生み続けていますが、これはとても稀有なことなのです。なぜか“陶芸界”では、若くして世に出た場合、何を勘違いするのか作品が人品ともに「変貌」する者が少なくありません。
鈴木都さんと接していますと、繊細な中にたしかな芯を感じられますが、おそらくその「核」の部分の質がとても優れたものであると察せられます。
やきものは「そのひと」が悲しいほどあからさまに出るものです。
それは、鈴木都という作者にはこれから先も期待ができるという証ともいえます。

ギャラリーラボ 企画