小出 尚永 Koide Naoe
略歴
1978年
兵庫県尼崎市に生まれる
1997年
備前焼作家原田拾六氏に師事
2011年
牛窓町に登り窯を築窯し独立
2013年
初窯を焼成

やきものに限ったことではありませんが、「伝承されるべき技法」を正しく受け継いでそれを身とするためには“徒弟制度”が本来最適の方法です。
ですが、現代社会では国家の介入と圧力によって「文化(に限りませんが)の確かな継承」が阻害され、代を重ねる度に品質が低下してゆくものが多いのは遺憾なことです。

 

小出尚永さんは、そのような本来の「奉公」に近い修行を14年間にわたり原田拾六師のもとで、師より独立を強く促されるまで完遂しました。その間の筋の通った修行ぶりは師からも伺ったり実際に目にもしていますが、これは当世とても貴重なことなのです。おそらく若年のころより「基礎反復訓練」の必然性を実感し実行する環境にあったためと思われます。10年以上修行すれば誰もが「継承」できるものではないことは、原田作品の場合ではなおさらですが、小出さんは師の認める唯一の継承者として伝承すべき作風と、近年確立させつつあるその基礎のもとに派生させた小出尚永ならではの作風を展開し、すでに備前でこの世代での筆頭作者と呼べる存在として活躍中ですが、その修行中を知る者からすればこれは少しも不思議なことではありません。

 

当廊では、今治店時代の初窯展を含め通算五回目となる小出尚永展です。
変遷を経た新作をどうぞご覧下さい。

令和二年一月 ギャラリーラボ 企画