黒茶埦

作品番号2TEV

作家名池西 剛

共箱

外形寸法10.2w × 8.6h (cm)

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人類が文明を持ちはじめてから最も身近な鉱物である鉄は、釉薬としてやきものにも多岐にわたって使用されてきましたが、 中国や朝鮮半島では白い器こそ上手であり、黒い器が主役となることはありませんでした。

しかし利休を代表とする日本の数寄者達は、黒の中に極微に宿る発色の変化や質感・マチエールに美を見出し、黒い器を茶席の主役として扱うようになりました。
今回発表される池西氏の黒を纏う器は、まぎれもなく利休や長次郎そして光悦・織部などの先人達が発見した美がふんだんに盛り込まれており、見飽きぬ滋味を有しています。

たなごころに「すっ」とおさまる作品ですが、各所に施された箆取りや重厚な黒釉の質感や釉薬の変化が雄大な景色を描き出します。
全面が質感の良い黒釉を纏う本作ですが、要所に釉薬の縮れや発色の変化を持ち、見る向きにより様々な佇まいを楽しむことが可能です。
見る向きにより表情を変える本作ですが、この面は上部はマット・下部は光沢を得た釉肌となり、おとなしい表情の中にも趣を漂わせます。
厚味を感じさせる黒釉は、釉薬の縮れや発色の変化により様々な表情を見せてくれます。
見込には釉薬の縮れが生じ味わい深い景色を描き出し、その発色・質感の妙と共に茶映りの良さを予感させます。
本作は随所に利休や長次郎・光悦などへのオマージュを感じさせます。美術館で先人の作品を見た時にご共感頂ければ幸いです