戸田 優美子 Yumiko Toda
略歴
愛媛県新居浜市出身
池西剛に師事
2016年
初個展

やきものは立体造形物なので、形、色などのデザインは大切です。
ですが、それだけだと使っているとすぐに飽きます。
長く使い続けるための最も重要な要素は触感、「手に触れた瞬間に手に来る感じ」です。
その正体はテクスチャーとマチエールからなる「材質感」です。
そしてそれは材質の選定と焼成によって決まります。
これが、「2回の壁」を越えて3回、4回と手が伸びて長く使い続けることのできるやきものと、そうでないものとの境目となります。

 

戸田優美子さんのやきものは、時間をかけて丁寧に作り込まれた面と線、そして刳り抜きによる造形と美しい釉調が特徴として前面に出ていますが、実際手に取ってみると実に強靭なテクスチャーでそれらの造形が支えられていることが確認できます。
素地と釉との「喰い付き」が良く、流れる釉が上すべりしていないことも特徴のひとつです。
戸田さんが影響を受けた20世紀初頭のキュビズム絵画は立体のもつさまざまな要素を平面で表現していますが、17世紀初頭の日本の織部様式は、積極的に多様な面を取り入れたやきものです。

 

戸田さんの作品は視点をずらしてゆくと次々と異なる場面が出現しますが、それらの面が機能性に富んで配列されていて、とても良い「手取り感」を実現させています。
奥行きのある美しい釉肌も見どころです。

 

戸田優美子さんの、これだけまとまった数での発表は、今回が初めてです。
皆様、どうぞご高覧下さい。