各地にて日本、朝鮮、中国の陶磁、古陶磁を学ぶ。
以降個展にて作品を発表。
池西剛氏の黄瀬戸の展開は、ここ数年「油揚げ手」のヴァリエーションをどんどん増殖させている(発表しているものだけで50数種類あるそうです)のがその特色でしたが、ここにきて新しい展開を見せ始めたようです。
まずは、黄瀬戸が志野へと移行する過度期を解釈し、それをオリジナル作品に仕上げた「黄野」。これには「黄瀬戸寄り」から「志野寄り」のヴァージョンまであるのだそうです。
そして、氏の思い入れが深く、着手の機を窺っていた「ぐいのみ手」の満を持しての発表、さらにはなんと、古作の「旅枕」、「立鼓」、「朝日奈」、「北向き道陳の茶碗」などの各手という、もはや特殊というにはあまりにもマニアックすぎるヴァージョンをそれぞれ試作中で、いくつかのプロトを拝見しましたが本展にいずれかが出るかもしれません。
「黄瀬戸椿手」という珍品も出品されています。「ぐいのみ手」には何種類かあるようです。
池西氏によれば、「なぜか黄瀬戸は、ことさらにデリケートな釉だと思われてしまうようで、新種をいろいろと開発しても、見る方からすれば「窯の中での変化による違いなのだろう」で済まされてしまうことが普通です。曜変天目などに比べると、甚だ報われない仕事の典型ですが、この報われなさにはたいへんな共感と愛情とを覚えます。(笑)」ということです。
今回の新展開は、まず現代では類例を見ることのできないものだと思いますが、「油揚げ手の新種もいろいろあるんですけど・・・。」なのだそうです。
とにかく、「きききせと会」(さて、どの文字をあてるのでしょうか?)でもやっているつもりで仔細に観ていただくことが出来れば、やきものの王道といえる圧倒的な材質感とともにこの新しい展開をお楽しみいただけることと信じてやみません。
本当は是非とも会場で手にとってご覧いただきたいのですが、遠来の方のため、まずはこの先行配信にてご案内いたします。