古松 淳志 Furumatsu Atsushi
略歴
1973年
神奈川県生まれ
1996年
大学卒業後 吉田明氏に師事
2005年
静岡県賀茂郡南伊豆町にて独立
2012年
割竹式登窯完成

古松淳志さんは、気の遠くなるような作業を強いられる「三島象嵌」を手掛けています。

 

この技法を駆使して、「なるほど」と感心できる作品を作る人は現在古松さんしか知りません。

 

氏の素晴らしいところは、この「隠れ超絶技巧」ともいえる作品群を、いとも簡単にニコニコと涼しい顔をして次々と生み出しているかのように「見えてしまう」、ところです(実際のところはどうだか知りませんが、このような仕事を昼夜問わず間断なく続けていれば、たとえば年中風邪をひいていたり、ヤケ酒のあげく木などから落ちて手を骨折したりしないものかと心配になります)。

 

それでいてこの「三島」は出来が良ければよいほど、元々そこにあったかのごとく自然さを纏い、まるで布団の文様のように看過されてしまうものです。

 

成功するほど報われない、というダルマのような業です。

 

いかにも大変で難しい!と喧伝する作家が当廊は嫌いです。ぜひ古松さんを見習ってほしいものです。

 

本展では三島の優品のほか、粉引、絵刷毛目や井戸、そして最近特に取り組んでいる白黒象嵌青瓷も、少量ですが出品されます。

 

「古松淳志の刻み込んだ時間」を、どうぞご覧下さりご評価いただけますことを心より願っております。

2018年11月   ギャラリーラボ 企画