清水 剛 Shimizu Takeshi
略歴
1975年
丹波立杭に生まれる
1999年
京都市立芸術大学卒業 陶芸家・今井政之氏に師事
2013年
第22回日本陶芸展 入選(‘11)
2014年
第7回現代茶陶展 入選
2015年
第32回茶の湯の造形展 入選

丹波立杭は、中世古窯の時代、桃山から江戸初期のもの、江戸後期の広域流通期、に特に印象の強いやきものを残してきました。

 

個人的な話ですみませんが、「丹波黒」といえば「黒豆」、ではなく黒釉の立杭焼、「丹波」と聞くと栗、松茸、芋より「赤ドベ、猫搔の壷」などを想念してしまいます。

 

現在の丹波では他産地と同様に、多彩な表現や技法によるいろいろなやきものを見ることができます。

 

清水剛さんは、一見すると現代陶の典型的制作者のように見えます。

 

とてもモダンでカラフルかつ繊細な作品だからです。

 

昨年の「塩窯」では別の側面で土の素材感、また今年3月の「ど・丹波展」では展示の主旨に添った、古典に忠実な造形を見せてくれたものですが、本展はその清水剛作品の本懐である「刻紋」です。

 

「刻紋の線」は中世丹波の壷にみられる「猫搔き」を展開したものだそうです。

 

斬新な作風や造形を展開する場合、その背景に必然的な厚みが無ければ一見面白くても、ものすごい速度で興味を失うものです。

 

清水氏の刻紋は、初見でも充分惹かれるものですが、しばらく眺め、また間をおいて見ると新たな発見があり面白味に持続性のある作品であるのは、氏が立杭のやきものの歴史や背景について考察を重ね、それについて語ることのできる数少ない作者(他の各産地でも、なぜかそういう作者さんは稀少です)であることと無関係ではなさそうです。

 

ぜひ本展でその魅力に触れていただくことが適えばと、ご来廊お待ちいたしております。

2018年12月    ギャラリーラボ