高橋陽さんは、やきものを作り始めてまだ間もない方です。
自分で使うための盃に、ちょうど良い寸法のものが見つからなかったことが作陶の動機です。
ですから少し前まで盃と小碗しか作っていませんでした。
私達が未知の作品にであうとき、多くの場合それが誰の作品であるか、おおよその見当がつくものです。特定しにくい場合であっても、少しあたれば判明します。
それでも分らないという場合、あるいは「まったくの新人さん」であったりするかも知れません。
なぜ、「あるいは」や「かもしれない」であるかと申しますと、そう簡単には「未知の良い新人さん」に出会うことなどは無いからです。
あるとき、「現代のものなのに本当に斑唐津」を買ったのですが、先述のように全くその作者に見当がつきませんでした。
ですから高橋陽さんが「ほんとうのまったくの新人さん」であり、少し前までワイナリーの仕事をしていて、やきものを焼き始めて間もない(その当時、本当に盃と小碗以外作ったことがなかったそうです!)とのことで、これにもけっこう驚きはしましたが、ほんとうのほんとうに驚いたのは、その盃が未完成ながらも「良いやきもの」であったことです。
「本当」が多すぎて信憑性が薄れてしまいすみませんが、とくにこれは本当に滅多にお目にかかれないことなのです。 本当ですよ。
昨年9月、当廊の「やきもの通信」で、初めての「公式発表」した折には先述のように未完成の部分が多い作品群でしたが、有り難いことに皆様にはご共感をいただけ、その日のうちに完売し嬉しかったことも記憶にまだ新しいのですが、この数か月間試作を重ねるたびに、毎回確実に改良が進んでいます。
その進展速度も予想通り早く、品目もいくらか増えてきましたので、この時期での「個展」に踏み切りました。
通常の個展といわれるものからすれば、まだ「器種」は多くはありません。
ですが、皆様にはぜひとも早くご覧いただきたかったのです。
ご来場お待ちしております!