池西さんの作るものには不思議な傾向があり、新作発表から数年ほど経たくらいから、徐々にその「以前の作品」への問い合わせが増えてゆき、それぞれの作品でそれが繰り返されることです。

池西作品は、ひと窯ごとにこれまで一度も同じ素材の組み合わせは無く、ご本人が「どうやら上手く行った」と感じたならば、すぐそれに別のものを混ぜたり花を植えたりして同じには使えないようにするのが氏の「作陶上の絶対ルール」とのことです。

これは、「“日月週”ではなく、やきもの屋の生活単位である“ひと窯をひと区切り”で捉えれば、生命の残り時間内に出来ることの上限が手に取るように読めるから」に加えて、「“どうやれば出来ないか ”についての方法を探すのが趣味」であるからで、また「今やろうとしていることを片付けるには350年ほど必要だが、長生きの願望は昔から無い」から、なのだそうです。

そのようなわけでこのたび、“池西剛さんの以前の作品”展を開催するにあたり、ギャラリーラボ所蔵のこれまで温めていた未発表作品もこの機に出品いたします。池西作品の変遷をご覧いただければ幸いです。

ギャラリーラボ   店主

※各作品についてのコメントと解説は池西氏本人によるものです。