
大前悟さんの工房のある淡路島は、豊富な種類の土石に恵まれています。
近年の急速な開発により、土の採掘が難しくなった場所もあるものの、まだまだ魅力ある素材を見つけることができるとのことです。
今回は、最近出会った土から触発された“唐津”を基調に仕上げた「鬼ヶ島唐津」となりました。
独特の釉肌と土の質感を持つ、大前悟ならではのやきものが新たにまたひとつ加わりました。
ぜひお手に取ってご確認いただければと存じます。
ギャラリーラボ
この鬼ヶ島唐津は「唐津」では有りません。
淡路島で発掘された土器の中には、唐津の土と同じでは無いかと思える土で作られた土器があります。
唐津焼誕生より遥か昔、島内にはその土で作られた焼き物が存在しているので、そうなれば唐津焼のほうが後発ということになります。
また私自身唐津風を作るつもりもなく、「唐津」が「淡路島」に似せた焼き物という考えた方が良いと思っています(笑)。ただ、その土を使って釉薬陶器が生産されなかったので、もし淡路島で釉薬陶器生産がされていたら同じ製法で作られ、唐津焼に似ているというよりも、ほぼ同手のやきものが生まれた可能性は有りました。
たまたま大阪に船で行き来出来る立地だったため、その時代に大阪城に使う瓦の生産が始まったことが、淡路島で唐津の様な釉薬陶器が生まれなかった理由です。
その様な背景を背負って今唐津をやってみようと思いました。
大前 悟