こちらは搔落しと象嵌とを併用した丸みのある扁壷です。
双魚を線で象嵌、対面は搔落としで牡丹、その両側面は杜甫の五言絶句を面象嵌と実に凝った造りとなっています。
絶句の内容は「江碧鳥逾白、山青花欲然、今春看又過、何日是帰年」(こうみどりにして鳥いよいよ白く、山青くして花もえんと欲す、今春みすみすまた過ぎる、何れの日か是帰年ならん)という色彩を駆使した望郷の詩です。
これもまた「古松様式」で、徳利としての手取り感がとても良く、牡丹面に幽かに現れる穴窯による青変と相俟って楽しめることと思います。
6. 粉青沙器扁瓶
作品番号FAA0003
作家名古松 淳志
箱共箱
外形寸法11.4w × 11.1d × 13.3h (cm)
容量510ml