「丸田宗彦の壷」のなかでも、これはとくに名壷ですよ!
まずはこの造形です。
弾力のある素材に内より高い空気圧によって膨らんだかのような、バーンと強い「張り」があります。
壺には、中世や李朝のもののように「節」によるが顕著であっても、この種の「張り」は名壷のもつ条件です。決して「胴径が大きい」ことと同じではありません。
次には釉調です。青から枇杷へと移りゆく片身替りの釉は、質感、材質感ともに理想的なところで「あがりどまり」しています。見ても触っても気持ちの良いものです。
そしてこの絵付けです。
甕屋の谷古窯由来と思われるこの著名な絵柄をここまで描き切る、ということひとつだけとっても、現代唐津の快挙といってよいものです。まさに丸田宗彦ならではの「至芸」といえます。
ここで特に「声を大にして言いたい」ことは、この壷にはこういった条件が揃っている、ということなのです。
そうそうざらにあるものではないですよ。