人類が文明を持ちはじめてから最も身近な鉱物である鉄は、釉薬としてやきものにも多岐にわたって使用されてきましたが、 中国や朝鮮半島では白い器こそ上手であり、黒い器が主役となることはありませんでした。
しかし利休を代表とする日本の数寄者達は、黒の中に極微に宿る発色の変化や質感・マチエールに美を見出し、黒い器を茶席の主役として扱うようになりました。
今回発表される池西氏の黒を纏う器は、まぎれもなく利休や長次郎そして光悦・織部などの先人達が発見した美がふんだんに盛り込まれており、見飽きぬ滋味を有しています。