この鴨の佇いかたは、ただごとではありません。
私はなぜだか他人ごと(鳥ではあるが)のように思えず、しばらくみていると涙が出てきそうになったものです。
すっと立ち上がった胴に、やや揺らせた口辺がこの絵付けとの相性やおさまりを良くしています。
そしてこのぐい呑には、特筆すべき点がまだあるのです。
大きさの頃合いがいい。絶妙の寸法です。
「最近は以前に比べて酒器が小振りになった」(丸田氏談)そうですが、「酒飲み大盃を用いず」と勝手に決めつけている私は、この大きさが最高に良いと感じます。
あと、高台内の「飛び釉」が程良く、さらりと梅花皮になっているのも魅力です。
このぐい呑みも、残ったならば私が…。