複雑、緻密、繊細・・・初見の折りには、その超絶な印象に一瞬間目が眩みましたが、少し目が馴れるとこの作品の本質と真価はそこではなく、とてもおおらかな強さと、品格を伴った納まりの良さ、そして何より「やきものとして成立している」ことにいたく感銘を受けたものでした。
これらの要素をすべて兼ね備えていることは、一見同類同系列に見えるかもしれない他作者のものでは、まったく見た経験の無いことです。
技術と技巧は本来別のものです。もちろん品格も、です。
私事ですみませんが、初見のおり私用のもとめた新宮作品群は、現在も飽きずに眺めたり使ったりしています。新宮さんの作品は緻密に妥協なく作り込まれてはいますが、それ以上に心休まるおおらかさが強く発せられているからでしょう。
この作品も、その複雑に見える造形に反し、使い易い碗です。しかもとにかく楽しいですよ!