備前陶では、「桃山」の世評が高いのですが、しっかり焼け締まり、かつ弾力を充分に感じさせる土肌のテクスチャーは、室町下半期のものが最高峰です。不思議なことにあまり取り沙汰されることが無いのですが。
この時期の良いものは、肌をみているだけで、やきものに関わっている幸福を感じさせます。
さて、森本良信氏は近年、このあたりの土肌に照準を合わせて来たように思われます。
このぐい呑もそのひとつです。
こういった肌は、写真画像でその良さを充分お伝えすることが難しいのがとても残念なのですが、是非ご覧いただきたい酒盃です。
微細に散った黄胡麻（こういう胡麻が良いのです！）を支える「堅固で柔らかい」土肌の「焼けどまり」もぴたりと決まった佳品です。
吟醸酒により深みを添えたい、と思う方には特にお勧めです。
