本作品の魅力は何と言っても、多種多様な色変化と肌質です。
赤を中心に見込、口辺部、胴上部・下部、高台とどこを取ってみても色味が違いますが、不思議と上手く均衡が取れており決して煩くありません。
それに加えて肌質の見た目と感触のギャップがたまりません。
外見からはどちらかというと「かせ」の風味が強調して見えるのですが、触れるとしっとり吸い付くように手に納まります。
個人的な“良い作品の条件”の中には風貌だけでなく、手にふれた瞬間に脳内で駆け廻る情報がストンッとどこかに納まる感覚が必須で、その結果手に残る感触が自然と印象の良いものになっているのだと思います。
などという文章を試案している最中にもふと気付けば本作品が手にあるということを考えると、どうやら少なくとも“私の良い作品の条件”は満たしているようです。(大村)