黒の立ちぐい呑です。
特筆すべきところは、まずは黒の質感です。漆黒と言って良い深い黒ですが、良く見ると片面が「窯の中での出来事」による幾何学的な文様、そしてもう片面は非常に細やかな縮緬状のマチエールが立っています。後者は画像ではわかりづらいかもしれません。
次に手重りです。ぐい呑の命ともいえるものですがこれがじつに良いのです。このことは見込みの安定感(安心感というべきか)と連動しています。
そして筒に少しだけ轆轤目による変化がついた姿が酒を呼びます。
もうひとつあげれば高台脇の梅花皮と、総釉の畳付に付いた「目あと」で特に後者には古格すら感じさせるものがあるのです。
本展の酒器は秀作揃いですがこれもまた、良いぐいのみです。
13. 唐津黒ぐい呑
作品番号MMA0070
作家名丸田 宗彦
箱共箱
外形寸法5.9w × 5.7h (cm)