正面の赤は穏やかなグラデーションがとても美しく、見る者の心に落ち着きと安らぎを与え…
などという生温いストーリーは、本作品が示す起承転結の『起』にすらなりません。
目をこらせば、正面の赤は内からバリバリと白い怪物に食い破られており、
さらに高台を覗けば、その侵食のもはや致命的とも言うべき進行度に震撼させられます。
鮮やかな色彩の地に怪物がもたらした不規則な隆起は、結果としてあまりにも美しく、
決して飽くことなき光景にすぐさま心を奪われてしまいます。
そう、結局怪物が食い破ったのは、見る者の心。
落ち着きや安らぎなどとは対極の、興奮と昂ぶりに侵食された心はすでに制御不能。
ただただ感動に魂を揺さぶられるのみです。
はて、怪物とやらの真の正体は?
ただの白い石?
いや、それとも・・・
ここまでが『起』です。
見込や後ろ正面など、役者は他にも揃っています。
物語の続きは、貴方自身の手の中で。(日野)