3ピースのパズルがそれぞれの主張を譲らぬまま、型にハマらない型を作り上げています。
美しき蒼の頑固もの達はしかし、実に正しく個々の役割を果たし、結果としてこの上ないほどの調和に満ち溢れた酒盃となりました。
あるものは、白から蒼へ展開する美麗なグラデーションを備え、主役として質感や口当たりなど酒盃の根幹を担い、
あるものは、使用者の指を献身的に支えるサポート役として細身の体を見事に磨き上げ、
あるものは、それらをダイナミックにまとめあげた上で最後のバランスの肝となっています。
一見この独創的で複雑な造形に使用する上での不安を感じるのはごくごく自然な事ですが、無論たった一度使用するのみで全ては安心に変わります。
使用者は難しい事は忘れ、多大な手間を要したであろう無数の蒼筋の美しさや、計算し尽くされた我儘なフォルムに心をただただ預ければ良いのです。
酒盃の歴史を踏襲しながらも、現代のテイストで場を完全に支配し、さらには未来への提案すら感じさせる本作品。
アンバランス感が生み出した絶妙なバランスを、是非その手でお確かめください。 (日野)