塩釉の透明感のある青は、鎬の幾何学模様にこれでもかと侵入し、溜まったり流れたりまさに自由奔放。
濃淡の表情が豊かな釉とそれを受け止める造形がお互いを高め合いながら見事に調和した、うっとりしてしまうほど美しいぐい呑です。
見込への塩釉の侵入も絶妙な上、光を受けるとさらに緑や黒や銀や黄色が忽然と現れ、酒席に華を添えます。
上から覗けば五角形に見える各面は、鎬の方向が異なり面ごとに違った表情を楽しめます。
捨て面なし、全面が主役を張れる『当たり面』ばかりです。
どの面も指掛かりが良くて非常に持ちやすく、ほど良いずっしり感と手にすっぽり収まる感覚は、まさに快感そのもの。
口縁も整えられており使用感も抜群で、どうにも欠点が見つかりません。
塩釉好き、あるいは鎬好きにはたまらない、もしも両方好きならばもう『必需品』と言えるぐい呑です。
(日野)