鈴木 都 Suzuki Shu
略歴
1984年
東京生まれ
1990年
土を掘りはじめる
1997年
美濃古窯跡を訪ねる
2010年
瀬戸に居を移す
2011年
愛知県立窯業高等技術専門校修了
土岐津・高山にて制作を開始する
2015年
郷之木古窯の地へ移る

ギャラリーラボでは鈴木都さんの志野を中心とした「やきもの通信」、そして個展を2017.2018年と開催し、たいへんご好評を賜りました。本年も12月7日より個展を予定しています。

 

さて今回皆様にお届けするのは「井戸の酒器」、徳利、注壺、酒盃を特に制作していただいたものです。

鈴木都史上初の「井戸の酒器展」ですよ!

 

いまでは「井戸」を手掛ける作者はずいぶん多くなりましたが、鈴木さんの井戸は、そのなかでも「正しい姿」をしています。茶碗や酒盃で最も大切な「見込」ですが、井戸はとくに「正しい見込」にお目に掛かれることが滅多になく、今回上がって来た井戸盃を見たとき思わず「これは正しい!」と喜びました。

 

 

今回は、皆様に特にご留意のお願いがあります。

井戸を見慣れている方の中には、「この井戸は貫入もみられないし、なんだか白っぽいではないか」とお感じになられる方もいらっしゃるかと存じますのでご説明しておきます。

 

現在、井戸を手掛ける作者の多くは、窯出し後、茶などに浸けて貫入に色を付け、目立たせています。いわゆる「古色付け」を最初からしてしまうのです。これにより一見、雰囲気が出るように感じる人も多いようですが、使い込んで初めて出る「味」とは貫入への浸透のバランスや様相がまるで違い「穢く」なるので、これはとても残念なことです。

 

 

鈴木都さんはこの古色付けがとても嫌いなのだそうで、一切それを施しておりません。

拍手を送るべき正しい姿勢です。

というわけで、古色付けされたものを見慣れた方からすればなんだか物足らないと感じられるかもしれません。

ですがご心配はご無用です。いずれの作品にもとても細かい良質の貫入がすでに入っていますので、使用を重ねるうちに貫入に色が入り「正しい深み」が時間と共に出てきます。

 

この下に、試みに貫入に色を染ませた同手の徳利と盃の画像を入れておきますので、参考までにご覧になってみて下さい。「この画像はイメージです」(笑)

これは前出のような「促成味付け」を施したものです。実際にはこれよりはるかに良い深みと味が出て来ますのでぜひ育ててみて下さい。育て甲斐がありますよ!

2019年7月

 

使用参考作品画像です