「これぞ備前!」というものを作ってくれる作者は、今や完全に絶滅危惧種となりました。
ナゴヤダルマガエルより少ないと思います。
近年巷で「備前が低調」と言われるのは、備前に興味を持つ愛好者が少なくなったからでは決してありません。むしろその逆で、備前好きの要求レベルが上がった一方で、それに適う備前を作る作者が上記の有様であるからです。
そろそろ諦めるか・・と思っていた皆様に朗報です。いましたよ、まだ!
これまでこの作者を知るのは、地元のごく一部の方々に限られていました。キャリアは随分長いにもかかわらず、本人曰く、「志し続けた“本来の備前”は、これまでことごとく無視または拒絶されてきた」のだそうです。何ということでしょうか。今どきこういうこともあるものなのですね・・・。
“埋もれていた逸材”などというものは、素人に毛が生えたような駆け出し者がすぐに“人気作家”となる生ぬるい現代陶芸界においては、まずとうてい期待できないことと思っておりました。
このたびは何と、「王道の備前」と「知られざる逸材」とを兼ね備えた(後者は本人にとって迷惑以外の何ものでもないでしょうが)ご紹介が出来、たいへん喜ばしいことです。(しかも、将来の「伸びしろ」も見て取ることができるというオマケ付きですよ)
今回は、皆様にどのように反応していただけるかがとりわけ楽しみなのですが・・・もし無視されたとしても一向に構いません。全部私物化させていただきます(*^-^*)
この作者は来春、より「王道」に寄せての新たな窯焚きを試みますが、その成果が顕われた暁には当廊にて、郷原良成史上初となる全作品備前による個展(仮副題・「王道の備前」)を開催する予定です。
このたびはその前哨として、小徳利ばかり八点のご紹介です。
いずれも一合少々の可愛らしい徳利たちですが、タイプの異なる八種を選びましたので、どうぞ掌中にて“備前本来の良さ”をお楽しみいただければ本望です。
ギャラリーラボ 企画