松村 遷 Matsumura Sen
略歴
1977年
埼玉県浦和市(現・さいたま市南区)生まれ
1997年
京都伝統工芸専門校(現・京都伝統工芸大学校)卒業
1999年
多治見市陶磁器意匠研究所(デザインコース)修了
以後、酒井甲夫に師事
2003年
さいたま市の自宅に窯を設置
2018年
益子町の自宅、本沼窯の初窯を薪で焚く。

「やきものが、というより黄瀬戸に興味を持った」ことが松村遷さんの始まりです。

松村さんは高校時代、美術教師の個人的趣味で学校の書庫にあった布張り特装版の平凡社陶磁大系「黄瀬戸・瀬戸黒」を目にしたことから、それ以来26年黄瀬戸ひと筋、という人です。その後、黄瀬戸を学ぶために多治見の意匠研究所に入りました。

黄瀬戸を本格的に学ぼうかという人は、普通はまず選ばない研修機関です。面接時に志望動機を伝えていれば「ウチでは“そっち”はやっていません」と教えてくれたことでしょう。

なぜわざわざそこを選んだかといえば、「知らなかったから」だそうです。とにかくそこを卒業し、酒井甲夫氏に師事を経て、その後も変わらず黄瀬戸ひと筋を続けています。関係者以外わかりづらいかも知れませんが、ありそうで無い略歴の持ち主なのです。

松村さんの黄瀬戸は基本的に美濃の素地土に、窯のある益子本沼の釉石、檜の灰という組み合わせで成り立っています。黄瀬戸を手掛ける際に檜灰を主に使う作者はあまりいませんが、松村さんが檜を使うのは「檜という木が好き」という理由です。実はこういった部分こそが“やきものの化学反応”以上に大切なことで、同じ素材と造形ものがあったとして「奥ゆき」の違いとなって現れる部分です。

そのような松村遷さんのギャラリーラボ初登場は、5種類の異なる釉薬の黄瀬戸による「やきもの通信」です。今回初登場の手もあります。それではどうぞご覧下さい!