金重 充宏 Kaneshige Mitsuhiro
略歴
1988年
窯元六姓 金重利陶苑に生まれる
2017年
備前陶芸センター入所
2020年
初窯

このたびのやきもの通信は当廊初登場、備前の金重充宏さんの作品をご紹介いたします。
金重さんは備前において古来「六性」と呼ばれた窯元のひとつ、金重家の本家である金重利陶苑に生を受けましたが、作陶に身を投じたのは最近になってからということです。
昨年のこと、作品を拝見する機会をいただきましたが、定めた狙いから自分なりの仮説を立て、照準を定めて逆算して試行する真摯な姿勢が印象的で次作を期待したものです。また、本来作陶者として絶対必須の、ある程度の数の他作者のものを自腹で求めるということも金重さんは実行しています(これを実行する作者は驚くべきことに案外少ないもので、“やきものを買わない”ということは即ち、“やきものには興味が無い”ということですので、そのような作者の作品には例外なく随所に限界が現れているものです)。
さて先日金重さんは新作が出来たということで、備前よりその新作を携えて再びはるばる当廊までご足労下さりましたが、一見しただけでも先年拝見した試作からの大幅な進化に嬉しくも驚かされたものです。
これは、良い備前を焼いてくれる作者が絶滅に瀕している、という事実を差し引いてもの感想で、類い稀れなる進化速度といえます。この先もこのペースで進化が続くならば、その将来は尋常でなく期待できるものですが、まずは現時点での金重充宏さんの成果を、ぜひともお手元でご覧下さればと存じ上げます。

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