堀 一郎 Hori Ichiro
略歴
1952年
岐阜県瑞浪市に生まれる。
1971年
多治見工業高校デザイン科卒業。
加藤孝造先生に師事。
1984年
瑞浪市大湫に工房を開き、穴窯を築く。
専ら志野、黄瀬戸、瀬戸黒、自然釉を焼く。
以後、団体・公募展を離れ個展のみで発表する。
1997年
工房を瑞浪市大草に移し窯を築く。

先日久々に堀一郎さんの工房を訪ねましたが、やはり道に迷いました。
作者さん達の仕事場の多くは、けっして交通の便も良くわかりやすい所にあるとはいえません。
とりわけ堀さんは以前の大湫の工房もそうでしたが、もう三十年以上も前から、まるで隠遁した世捨て人か仙人の棲み家のような山を分け入った隠れ里のような工房で、ときに「弓の名人」が弓をも忘れることへの憧憬など話されながら、ご自身のペースを厳格に保持した仕事を続けてこられました。また近年ではやきもののみならず「たまねぎ」や「じゃがいも」を作っておられ、「これはいくらでもできるから食うには困らん」などとおっしゃっておられます。
そのようなわけで、堀さんが「仙人」と違うところがあるとすれば、どうやら「霞を食って生きている」のではなさそうであること、「杖を振る」のではなく「窯を焚く」ことによってやきものを生み出していること、そして「弓の名人」と異なるのは「ところで志野って何だ?」ではなく、「未だやはり志野はそう簡単にはいかない」と工夫を重ねているところなどでしょうか。
そのせいか、作品の輪郭が近年より明確に際立ってきているようですので、私たちにはとても心強く感じられます。
皆様もその最新作をどうぞご覧下さい。

令和元年10月  ギャラリーラボ 企画