その3. 詐欺にご注意
こちらが尋ねてもいないのに、焼成温度や時間、土がどうした等々「情報開陳」したがる作者には要注意です。大半が嘘か出鱈目です。天ぷら屋さんや蕎麦屋さん、パン屋さんたちはその温度や茹で時間、パン粉がどうしたなどということを尋ねれば教えてくれるかもしれませんが、180℃で揚げた天ぷらを「360℃で揚げたのである」などとは言いません。また、やきもの愛好者の方々がそのようなことに興味を持っても、いずれも有益な情報とはなりません。やきものの焼成時間や温度は「偏りかつ不正確な情報」、土は「どこそこの土」「山土、田土」などといってもその辺りだけでも異なる性質のものが無数にあり、その場の上下左右でも全く別種だったりするわけです。窯も同様で、作者が「穴窯」などと言ったところでそれは外壁と天井に過ぎず、窯の実態とは窯詰め完了時の状態のことです。見る側に用があるのはやきものそのものであり、製法や素材の不正確な情報は邪魔以外の何ものでもありません。冒頭のような話をしたがる作者はおそらく、作品そのものから見る側の目を逸らす必要があるのかと思われます。