短い やきものの常識は疑え!始めました。
「やきものの常識はまず疑え!(「まず」はなかったかも知れない)」では、文が長い(実際には草稿の五、六分の一ほどに省略している・・)、解らん(やきものに興味を持ち始めて間もない方々にも解る内容を、と常に心掛けているが・・)、という方もいらっしゃるそうなので、出来るだけ短く平坦に♡を心掛けてのこの欄です。自己営業妨害といえる本編で、すでに触れた内容もそうでないものもあります。 解りやすいが故に自律神経などに支障をきたし、ご家族に八つ当たりなされても当方は一切責任を負いませんので、その場合の捌け口は劣悪な国政ならびにそれを許容する現代社会にお求め願います。

その26.

 

その26. やきものレトリックにご注意 其の二

 

 

『高温で焼かれよく焼き締まった~』

これもよく目にするものですが、この場合の問題は「高温で焼かれ」と「良く焼き締まった」とを直結させているところです。通常これに「長時間」が組み合わされることも恒例ですが、話が長くなるのでここでは省きます。

やきものには「高温で焼き締まったもの」「低温で焼き締まったもの」「炭素の働きが焼き締まりの主要因のもの」などいろいろあります。もちろん「高温」を必要とする素材もありますが、素材の耐火度や炭素に対する反応性の強いものは「低温」でもよく焼き締まります。いずれも大切なのは「適温」であり、温度の高低ではありません。したがって冒頭のレトリックそのものは間違いではありませんが、このように紹介されているものの多くには「低温でよく焼き締まったもの」が含まれています。因みに古陶磁の優品の多くが「低」のほうです。

あくまで参考例ですが、一般的なやきもの焼成温度の凡例として1000℃、1100℃、1200℃、1250℃、1280℃、1300℃といった大まかな区分があり、現在巷でいわれる「高低」の境は目安として1200℃です。「低温」とは言っても、温暖化の進む地表の気温や風邪ひきの高熱よりは高めです。

実際には1200℃弱で焼いたものを1300℃などと言いたがる「作家さん」たちの意図は謎ですが、ただでさえ森林伐採や化石燃料の枯渇、二酸化炭素の大量放出がやかましく非難される近年の世相において、それに与する陶磁製作者は環境破壊推進者、加えて品性が無く胡散臭い騙りだと犬にも思われるので、ぜひやめていただきたいものです。やきもの焼きは省エネルギーに越したことはありません。