その27. 「独創性」とは
その後の人間の営みとして「独自」のものを創作することを「独創」と呼ばれていますが、その必要性とはどのようなことでしょうか。
この世に生まれ出るということはすでに自らの独創ではありませんが、それはさておき、「他者と違ったことを」という時点ですでに他者が基準となっており、即ち他人と同じことをする「ひとマネ」と同類となります。
あらゆる分野において、先ず最初の段階として「良い先例」を細部に至るまで”まるごとコピー”することは、創作過程初期段階においての重要な基本です。その継続過程で勝手に現れ出る他との多少なりの差異こそが独自性です。つまり”まるコピー”する能力の無い者が「独自」のものを作ったとしても稚拙な出来損ないとなるのが通例です。これならば「人まね」のほうが良いものが出来る確率は高いわけです。
やきものも例に洩れず「独創性」を呪文の如く唱え続ける作者、愛好者は掃いて捨てるほどいますが、「初歩のまるコピー」が出来る技量を持つ者は近代以降滅多にいません。皆で寄ってたかって、基礎が未熟な初心者に「独創!」と唱え続け、無垢(素直とは異なります)な作者は疑うこともなく追従するわけです。この業界の未成熟に加え、本人の無垢さ加減に問題があるものの、信仰とはそのようなものかもしれません。
余計なお世話として、どうせ信仰心を持つならば陶芸界隈の”独創性豊かな無責任者”たちより、玉ネギでも信仰しておくほうが遥かに良いやきものが焼けると思います。
先ずはこのような単純極まりないことから改善され、「陶芸」界隈が少しマシになればと長靴に祈ります。