戸田優美子展 展覧会風景

戸田優美子展始まりました。ご来店お待ちしています。

 

 

 

 

巨石群……?は戸田さんの石のコレクションです。

これくらいの大きさでした。

戸田さんが始めて池西剛氏のもとを訪れたのは、知り合いの方に薪割りの手伝いについて来るか?」と誘われて行くと、窯詰めの最中でした。

窯を覗いていると、そのまま窯詰めを手伝うことになりました。

そこで足が途絶えると思いきや、普段行かない雑木林や竹林に足を踏み入れることにピクニックに行くような感覚で通うようになり、「へび」や「ムカデ」「たぬき」などの「ほんもの」に生まれてはじめて出会うことになります。

当時は窯焚きの際、家の廃材を薪に利用しており、戸田さんは、クギ抜きをすることになったのですが、建材用のクギはとても大きく、(もはや杖ぐらいの大きさのあるバール)で抜くことに……。

(女性であることに一切の配慮はしてもらえない環境だったそうです。)

 

音ですら怖いチェーンソーで木を伐ったり、窯詰めを手伝ったりしているうちに、ある日池西氏から「あなた、やきものする?」との問いを受けます。(返答は制限時間10秒以内、との前置きがあったそうです。)

戸田さんは、驚き焦りつつも「はい」と答え、師事することになります。

ちょうど20年前のことでした。

 

 

 

当時、池西氏から言われたことは「とにかく接するものは何であろうと全て徹底的に見聞きするように、それが基本。まずはそれだけ。」と、「それだけ」だったそうです。

石を収集するようになったきっかけは、池西氏の制作する織部様式の茶碗の造形に「カッコいい」と思い、改めて自らが制作したいやきものは何かを考え、迷い、そうしているうちに河原に辿り着き、次第に河原に行っては、自身が面白いと感じた石を自転車カゴいっぱいに持ち帰るようになります。(行きは乗ってきて、帰りは押して帰る日々でした)

刳り抜きの技法に着手したのは、20世紀初頭のキュビズム絵画に興味があったことから、これと織部様式とを結ぶに適しているのでは、と思ったからだそうです。

 

石からの影響の実例です。

 

戸田さんの持ち味のひとつに、素材に対する感覚と反応の鋭敏さがあります。

今回も、それが存分に伝わって来る内容です。

(文責・内田)