1. やきものやの因果   池西剛

 

手放したくない自作品はあるか、と聞かれます。たまには自分で入手したいと思うものもあります。

ただ、制作者にとって客観視というのは必須の技術ですので、これは徹底させています。ですから、一度窯から出したものは自作も他作も全く同じで、「自作品」という思い入れもありません。そのうえで「その価格ならば私は欲しい」というものがあると、他作品ならば買う、自作品ならば手放す、ということになります。

私はけっこうやきものは好きですので、つくづく因果な商売であると思います。

手放したくない物が手放すべきものだからです。