若いやきもの作者さんが茶碗を作っていると、「茶碗はやはり茶を十年習ってからでないと」、あるいは「茶碗を作るには若すぎるよ、もっと歳を重ねてからでないと」などとおっしゃる方々が実際におられます。「公募展」などの審査員のなかにもいるそうです。
そこの若い作者さん。こういうアホのたわ言以外何ものでもないようなものを真に受けてはなりません。こういう者たちこそが「やきもの界のガン」なのですから。
「茶の稽古を十年」については現在において、“茶の湯は胸の覚悟なり”を質実ともに実践する素晴らしい師匠と稀にみる幸運によって出逢う奇跡でもない限り、現代の「ねずみ講式上納金制茶人ヤクザ」組織に所属してみたところで、却って作陶の害になるだけのことです。茶事(“大寄せ月次釜”のことでは決してありません)を頻繁に催さない師などに付くのは更なる愚行です。
また、たとえば“天下の名碗”大井戸茶碗、銘「喜左衛門」の作者が、16世紀の朝鮮半島で十年間一生懸命茶の湯の稽古に勤しんだ末ようやくこの名碗を生み出すことができた・・・という姿を想像できる常人ならぬイマジネーションの持ち主であれば、やきもの関係者などをやっている場合ではありません。もっと世の役に立つまっとうなしかるべき職業に就く、もしくは一刻も早くしかるべき診療所を訪れる、のいずれかを選択するべきです。
そうして、そこらへんの小学生に「読み書きそろばんなど十年生になってからやれ!まだまだ早い!!」、あるいはクラシックバレエに励みローザンヌを目指す有望な少女に「そんなものは婆さんになってから始めろ!」ということを、是非とも“学校”や“道場”などに乗り込んで大声で教えてあげてみてください。きっと盛大に喜ばれ、適切な居場所を確保できること請け合いでしょう。
茶碗を志すのであれば、思い立ったらできるだけ早く始めるべきです。
「その道に入らむと思ふ心こそ我が身ながらの師匠なりけれ」と、かの“利休さん”もおっしゃっています。具体的な師としては、「半端な現代人」より「良い現物」を推薦します。
ですが、いかに「三つ子の魂」などと言えども、「首がすわる」より前や筋骨が整う以前の2歳や3歳前半までくらいでは、やはりバレエダンスなどと同じく少々早すぎるかもしれませんので、その“適齢期”はぜひとも経験豊かな先達に・・・・・とは言っても、先輩さんたちが皆「年寄り」になってから始めた経験浅い人たちばかりなのであれば、一体誰に相談すればよいものでしょうか?
お地蔵様にでも聞いてみてください。