【閲覧上のご注意!】※閲覧前に必ずお読みください。
このコーナー「やきものの常識は疑え!」は、やきものギャラリーおよび美術館の企画、または関連書籍や陶芸作家の言動や作品、あるいは、現代社会において楽しく充実した生活を送るすべを心得ておられ、現在この国は民主主義であると何の疑念も抱かずに受容されている方にとって、必要なことは何一つ書かれていません。閲覧により不快感、吐き気、嘔吐、食欲不振、めまい、ご家族への八つ当たり等の症状があらわれた場合、ただちに閲覧を中止し、当方ではなく医師・薬剤師・唎き酒師・祈禱師などにご相談下さい。乳幼児、小児にこれを読んで聞かせる場合はご家庭の教育方針への抵触にご注意下さい。また、本稿を閲覧しながらの自動車及び機械類の運転操作はしない下さい。

79. 見出しは最後にありますよ

 

 

やきもの店でやきものを見る際、何を置いても先ず「絶対に、これだけはやってはいけない!」ということがひとつあります。

何でしょうか?

 

熟覧中の他者に話しかける、万引きをする、拳銃を乱射するなどということは、通常の一般常識を備えた皆様であれば滅多にやらないであろうと思われますが、今回はそういった一般常識を備え前科もない善良な方々にもけっこうな頻度で見かける「絶対ダメ!!」についての話です。

 

見た瞬間「素敵!」というのは、やきもの店でもよく耳にする言葉ですが、言葉そのものに罪はないものの、あまり見る意思もない人々が意味なく適当に間を持たせるために乱発する定番句でもありますので、やきもの好きの人々は出来るだけ他の言葉をお選びになることを推奨します。経験上では、その後に熟覧する人がこの言葉を使うのを見たことがありません。ですが、「これを口にしたならば最期!」というほどの一大事ではありません。

 

香水の匂いがきつい、あるいはそのセンスが悪い。

けっこうつらいですが、”来店制限”の対象ではありません。

ですが、やきものを手に取って見る場合に限り、手首以外の掌や指に香水が付着していればやきものにも付着するので指輪どころではなく、ダメな行為のひとつに挙げられます。

 

来店早々に「見るだけですみません」と言う。

ご来店下さる方は「見るだけ」でもまったく構わず大歓迎です。

ですがそれをわざわざ言う必要がなく、そのことにより品性を疑われますので、できればやめておいた方がよい発言かと思います。

黙って入って来て黙って出て行く人もいますが、これも同じ理由でやめた方がよいでしょう。
例えば、来店時には「見せて下さい」、退出時には「お邪魔しました」「ありがとうございました」などのひとことで充分です。やきもの店は一般社会において不要品店かもしれませんが、反社会的団体事務所や

ぼったくりバーならびに百貨店などではありません。

 

「やきもの世間話」をする。

「やきもの世間話」をする人とは、作者の某と知り合いであるとか、誰が人間国宝になった、薪窯で焼くから良い、無作為が云々などという現在のやきもの関連本のような誰の何の役にも立たない話を延々とする、もしくはそれしかしない人を指しますが、それでも「お客様」であれば左程の問題ではありません。

 

店内で違法薬物を摂取する。

そのことにより店内で暴れたりしなければ、私どもの知ることではありません(法が間違っているであろう品種も中にはあります)。因みに、店内で実際に使用されているお客様には未だ遭遇したことがありません。

 

店内での飲酒行為。

当店では「酒器と酒の会」というものを開催しております。

 

店内でのお連れ様とのいかがわしい行為。

他所でやって下さい。

 

インサイダー取引の相談

店により様々な方針があるでしょうが、もっともなご相談です。

 

 

さあ・・・となれば、けっこうな頻度で見かける「絶対にやってはいけないこと」とは何でしょうか。

 

実はすでにこのコーナーのNo.35で全く同じ内容に触れていましたが

それは、「やきものに触れる際、手に取らずに位置や方向を変える」という行為です。

つまり、置かれている台なりテーブルや盆の上で「持ち上げずに」そのままガリガリと回したり位置をずらせたりすることです。

これは絶対にやってはいけません。

これをやれば必ず台に傷がつきます。場合によってはやきものの高台を損傷することもあります。畳付きが「砂高台」や「目跡付き」などでなく一見滑らかに磨かれていたとしても、焼き締まった陶胎は砥石のようなものです。そういう理屈以前にまず、やきもの好きとして決してやることではない見苦しさがあります。

 

このように普通に考えれば容易に分かるであろうことが、愛好者や作者ですらなぜか出来ない人が少なくないので、結局このような話を繰り返さなければならないことになるわけです。

どうしてもやりたくて自宅でそれ専用の台を用意している、などでない限り(それも先述のように高台が傷むこともあるのでやめたほうが良いですが)他所では決してやってはいけない行為なのです。

真っ当なやきもの好き、並びにやきもの店にとっては拳銃の乱射や万引きより罪が重く、幼児誘拐よりも軽蔑に値する行為となりますので、もし何かしら思い当たる方が本稿を目にされた場合は、「取り扱う」という言葉の語源でもある「手に取って(少し持ち上げて)扱う」、ただそれだけの実に簡単なことですので、是非ともご留意のうえ実行いただけることを心より願う次第です。

 

というわけで本稿の見出しは、「何度もすみませんが絶対にこれをやってはいけません!!」でした。