通次 廣 展
令和5年11月4日(土)~11月12日(日)
11:00~18:30 水曜定休
通次廣在廊日 11/4(土)、5(日)
通次 廣(つうじ ひろし)さんの当廊初個展です。
通次さんは京都にて代々茶陶を専門とする陶家出身の作者です。
その作品はこれまで専ら茶道具商が取り扱っており、この業界特有の縦割り構造により、いわゆる“やきものギャラリー”で直接取り扱いがなく、展覧会も先代との茶陶展であったそうです。そのようなわけで、本展は私どものようなやきもの店での初個展となります。
通次作品の核を成すのは、16世紀末より17世紀初頭にかけて日本から朝鮮半島に注文製作された種々の茶陶で、御所丸、伊羅保、柿の蔕といったその初期のものから、“御本手”と呼ばれる1639年以降に釜山倭館の釜山窯で対馬藩より派遣された陶工頭(といっても陶工でなく茶頭などの役人です)の指導のもとに製作されたものを主とします。茶の湯道具としてのみならず、やきものとしても重要かつ大きな魅力のあるものですが、特に御本手はこれまで現代陶にはその佳品を見ることが稀な領域でもありました。
先だって、当廊におきまして通次さんの御本手茶碗ならびに「やきもの通信」にて御本手酒器をご紹介し大変ご好評を頂戴いたしておりますが、本展では本邦初公開の品目など多岐にわたる優品が揃いました。京都では江戸後期に高麗茶碗写しの名工を輩出していますが、通次廣さんの轆轤の筋目から目跡にいたるまで極めて細やかな観察と手腕はそれらに勝るとも劣らないものです。作者が実力を伴うのは大前提だとしても、「実力作家」という月並みな言葉が自然に思い浮かびます。
御本手の王道といえる茶碗から、小さな酒器においても細部まで貫徹した作品群を、ぜひご高覧下されば幸甚です。
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