高橋 陽 展
令和6年7月6日(土)~7月14日(日)
11:00~18:30 水曜定休
高橋 陽の作るやきものは本格です。
(“本格的”ではありません。「的」は、「亜」などと同じく「~みたいなもの」つまり「ナンチャッテ~」になり
ますので“魅力的”などと同様、下手に使うと婉曲な否定となることがあるので注意が必要です)。
本格のやきものを焼く現代作者はたいへん稀少です。
高橋氏の作品は“年季”が浅いぶん未完成な部分も散見されるものの、「本格のやきもの」にはそれを作る体質(資質ともいいます)が必須条件です。目指せばできる、という類のものではありません。
氏はこの「浅い年季」の中で、すでに近現代陶磁における“前人未踏”の幾つかを成し得ているわけですが、それを正しく感知するのは私達やきもの愛好者の責務です。斑唐津のように判り易いものから、誰もが気軽に粉引という名で手掛けるものと同様、堅手系の質感のように「ほんもの」をよく知らなければその違いが判らないものなどいろいろあります。
そこまでであれば、その将来に大いなる希望がもてる話なのですが・・・ひとつ問題があります。
やきものに限ったことではありませんが、「本格のもの」はいわゆる“玄人筋”には喜ばれても、通常一般受けはしません。現代のやきものも例に洩れず、「お子様向け」でなければまず大売れはしないので、業者の多くはそればかりを追い、SNSの作者の自己宣伝に簡単に釣られる傾向はこれからも加速し続けるでしょう。もちろん、そういった「部門」も景気向上のためには必要ですが、やはり如何に数は少なくとも「本格」の存在は絶対不可欠です。「本格」を志す作者達は、もし俄かな需要が有象無象に増えた場合、まずは自作品の退行化を仔細に再点検する必要があります。
無責任ではありますが、高橋陽氏には今後も決して一般受けを狙うことなく「本格度数」を上げ続けてゆくことを切望しています。どうやら自己宣伝は不向きなようですので、となればこの先その精度が上がるほどに玄人筋以外にはなかなか買ってもらえない・・・などということもあるかも知れません。
私共が作者に対し、「応援」という言葉を使うのは無礼千万の禁句ですので、皆様にはこの国の現代陶磁の品位向上ならびに絶滅危惧種保護のため、本展をどうぞご高覧のほど御願い申し上げます。
※価格表を含む各画面はクリックにより拡大してご覧いただけます。
– お知らせとお願い –
※ 図録掲載作品の別面の詳細画像などのご要望につきまして、 購入希望の方にお応えいたしております。尚、対応は会期3日目以降となり、本展では7月8日(月)より順次対応させていただきますが、店舗と図録によるご成約優先のため、その間にご要望作品が売約済みとなりました場合は対応をご容赦願います。