池西 剛 展

 

ーごあいさつー

もとより確認行為として手掛けた作陶ですが、気が付けば三十九年という時を経ていました。
当初の疑問点を何かしら解明できたとしても、ひとつ解明する毎にその数倍以上の新たな不可解がもれなく付いて来るので、それを続けていれば本当にきりがありません。これまでやきものに接して知った最大のことは、「知らないことがずいぶん増えた」ことです。
そこで近年の制作は、所縁を得た人や素材に随うことにしています。
やきものを作成するにあたって、自己表現や独自性などというものを意図することはこれまでも今後も一切ありませんが、万事に渡り結果としてそういったものが露顕するのは止むを得ないことですので、常日頃より世話になっている古今東西諸々のやきものが自分というフィルターを通して現れた結果が、たとえ僅かでもひとりでも、やきものを愛好する方のやきもの生活にお役に立つようなことがあるならば幸甚の至りと存じます。

2024年7月 池西 剛

この国には古来、すべてのものごとに不可避な「寂び」という事象に対する「侘び」という感性に加えて、さらに歴史を遡ると「バサラ」という反骨精神より生まれた思想表現がありました。
今回の池西剛展は、それらが時空を超えて併さったかのような「彩華(さいけ)」と、よりサイケな「縒彩華(よりさいけ)」というシリーズが中核を成しています。
これらの作品には、侘びの風情とバサラの華やかさとが時間を逆行して共存しています(因みに、名称の由来が「サイケデリック」とのことです)。
最新の「彩華」は初見の強烈な印象に対し、手に取ってみれば相変わらず至るところに、古陶磁に通ずる池西作品特有の「良いやきもの」の確かな存在があり、これまで以上の落ち着きを実感できますよ。
いつも思うのですが・・・池西作品をご理解下さる方々は、皆様それぞれほんとうに個性が強く素晴らしいお仕事を成されている専門家の方が多く、やきものに真剣に向き合って下さっている方ばかりなので私共は驚きと感銘を受けることしきりです。
作陶を生業にされた当初より、一貫して「本来の日本人に向けた仕事」を志しそれを実際永らく続けてこられた池西剛さんならではの最新作は、今回もまたアッとびっくり唯一無二!!の新発見が盛り沢山で使って楽しいこと必至ですよ。ご高覧お願い申し上げます。

ギャラリーラボ  小野

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