このコーナー「やきものの常識は疑いやきものを信じよ!」は、近代以降、雰囲気や夢想あるいは「トンネルに幽霊がいる」といった類いの、どちらかといえば善良な部類のア二ミズム、または単なる迂闊にて語られ続け今や常識と化した、やきものにまつわる如何にも尤もらしい話をいろいろと疑ってみた結果、「それでもやきものは美しい!!」と宗教裁判をも恐れず言い切った先人に敬意を表したものです。
したがって、いかなる反論があろうとも私は知りません。姉妹コーナー(なぜこの手の話は例えば都市提携などでも、兄弟ではなく姉妹なのでしょう)である「やきものの常識は疑え!」(いつも命令調ですみません)では、雲霞のごとく押し寄せる反論を期待していたのですが、現在まで好評はいただいても反論は全くいただけず、とても寂しかったので今回は知りません。
また、本稿は乳幼児への読み聞かせにはさほどの実害はないと思われますが、その結果どのような大人になったとしても当方ではなく「やきものの精」のせいです。その場合、絵本のように添付の画像を見せて下さい。その小さい方が画像に興味を持たれるようでしたら、お連れ下されば実際に現物に触れていただきたいと思います。
尚、この欄に登場するやきものはすべて、売り物ではありません。
また最後に、本稿は単にいろいろなやきものをご覧いただく目的によるものであり、これといって他意はまったくありません。閲覧の結果、著しい嫌悪感を覚えられたとしても「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」式にやきものまで嫌いにならないでいただけることを、やきもの共々心より祈っております。

5. 須恵器平瓶

 

 

 

 

5. 須恵器平瓶  6世紀 高さ9.5cm胴径10.0cm

 

 

ふたたび須恵器ですよ。

今回のものは平瓶、これも以前は「ひらか」と呼んでいましたが、前回同様「現代的つまらなさの法則」に従って、現在では「へいへい」と読ませるようです。つまらなさが嵩じてこちらはとても面白くなりました。よかったですね。

 

さてこのたびご紹介したいのは、そのようなことではありません。

平瓶はほとんどの場合、ずいぶんもっと大きいのです。

この平瓶はちょうど1合五勺入ります。もちろん酒がです。

酒切れもとてもよいです。堪りません!

ですが出自はもちろん、酒器ではなく明器(副葬品)でしょう。

 

小さな平瓶はないものかと長らく探し続け、しまいには祈りつづけていたところ不意に現われたものです。35年ほどかかりました。やはり祈りは大切です。

 

時折このように報われることもあります。